vol’11
土間と水府提灯
土間と水府提灯。
農業、漁業、商店などの生業に、作業場である土間は便利な空間です。
旅館においても、旅行のお荷物をお預かりしたり、レンタサイクルの自転車、ベビーカーや車椅子をお預かりしたり、庭仕事の休憩にも利用できますから、宿屋においても活躍します。
生業のために便利な空間ですが、屋外から薄暗い土間に入ると喧騒が消えて、心が落ち着きます。それが土間を好ましく思う理由でした。
社会から遠ざかり、海だけを感じるために、土間は社会のノイズを聞こえなくする、そのような場所です。
水府提灯は水戸藩の下級武士が生業のために手仕事としていた伝統工芸です。水府とは水戸の異称で、豊かな那珂川の水が巡らされた水の都でした。
江戸時代に大洗は水戸藩に属し、水戸と大洗は那珂川を通じた水運のつながりがありました。水の都の灯りが来訪者をもてなします。